7:楽しいお買い物

 翌日の朝、ジェイは上機嫌のシャルを連れて街へ出ていた。
 実習の旅の必需品の買出しの為に、全員が授業を休みにしたのだ。
 野外実習の準備は申請すれば授業を休む事が認められている。
 本来は休養日に行ってもいいのだが、何しろ休みの日の街は混むのでゆっくり買い物どころではない。時間のかかる実習の準備は平日に行うのが利巧なやり方だ。
 ジェイはディーンと一緒に寮を出る予定だったが彼は研ぎに出した剣を受け取ってくると言って先に出かけてしまった。
 結局ジェイは一人で寮を出て、その途中でシャルと出会ったのだ。
 今朝のシャルは不気味なほど機嫌がいい。
 理由は恐らくただ一つ、昨日の騒ぎだ。

 昨日あの食堂での会話の後、アーシャが放った最終兵器ともいえる言葉に我を忘れたコーネリアの暴走は凄まじかった。
 シャルほどではないがコーネリアも切れると見境がない恐ろしい少女なのだ。
 氷の飛礫が飛び交う食堂から、笑い転げて息も絶え絶えなシャルと三分の一残っていた魚料理に未練を訴えるアーシャを連れ出すのは本当に大変だった。
 四人はどうにかこっそり抜け出せたが暴走した本人はその後駆けつけた教授達に捕縛され、今日は朝から食堂の修理をさせられていると聞いた。
 自業自得とは言え少し哀れを感じてしまう。
 そんな哀れは微塵も感じていないらしい幼馴染はついに鼻歌まで歌いだすほどご機嫌だ。
 四人で旅をする事はなんとかなりそうだ、と考えていたジェイだったが、コーネリアのチームが同じ目的地だとするときっとただではすまないに違いない。
 それを考えるとジェイは朝から少し憂鬱だった。

「あ、いたわよ。おはよう!」
 シャルの明るい声に呼ばれて前方を見れば、確かに待ち合わせの中央噴水前には見知った人影が二つ目に入る。
 走りよるとアーシャは噴水前のベンチに座りもぐもぐと何かを食べていた。
 ディーンはそれを面白そうにじっと眺めていた。
「ほはひょう」
「おう、おはよ。何食ってんだ?」
 アーシャは口いっぱいに串焼きのようなものを頬張ってもぐもぐしている。
 ごくん、と口の中の欠片を飲み込むとディーンを指差した。
「なんか足がいっぱいある変な奴。ディーンが奢ってくれた」
「ギロの半干しを焼いたものだ。昨日は魚を残させてしまったからな」
 ああ、あれか、とジェイは頷いた。
 ギロとはやはりフィリネス特産の海の生き物だ。
 足がいっぱい生えた貝のような不気味な姿は美味そうとは言いがたいが実際食べてみると味はなかなか良く、干物なら日持ちするからこの街まで普通に届く。
 辺りを見回すとすぐ側にギロの串焼きの屋台が立っていた。
「いい匂いだな、俺も食おうかなぁ」
「お前は朝食を取ったろう。アルシェレイアは何も食べていないと言っていたからだ」
「あら、何も食べてないの? ちょっと待ち合わせが早かったかしら」
 シャルが心配そうに聞くとアーシャはふるふると首を振った。
「朝は寝てる」
「……」
 朝もなのか、と誰もが思ったに違いない。
 三人が黙っている間にアーシャは残りの串焼きを食べ終わり、串を捨てる為にパタパタと屋台の方へ走っていった。
「一体あの子一日何時間寝てるのかしら……」
「……さすがに野外で寝てばっか、ってことはないよなぁ?」
「……」
 不安を抱える一行の下にてこてこと戻ってきたアーシャは、奇妙な顔をした三人を不思議そうに眺めたがそれに関しては何も言わず、ディーンにお礼を告げた。
「ディーン、ありがと。美味しかった」
「……いや、いい。朝はちゃんと食べるようにしろ」
「んー」
 睡眠と食欲の天秤を頭の中で傾けているらしいアーシャは難しい顔をする。
「まぁいいわ、とりあえず歩きましょ。時間が勿体無いもの」
「そうだな。まずは道具屋だっけ? 一番街に何件かあったよな?」

 アーシャの中の結論が出るのを待たずに四人は街を歩き出した。
 朝市もピークを過ぎたこの時間の街は比較的静かだ。
 並んで歩きながら何か話をしているアーシャとシャルを眺めながら、ジェイはディーンに声をかけた。
「なぁ、なんかお前あの子に優しくない? 気に入ったのか?」
 ディーンはどちらかと言えば(言わずともいいかもしれないが)人嫌いだ。
 基本的に男にも女にも分け隔てなく冷ややかで、甘い顔は絶対しない。
 その常から考えれば、少女に食べ物を奢っている友人というのはジェイにはちょっと信じがたい光景だった。
「……昔、母が犬を飼っていた」
「あ?」
 それが今の話とどう繋がるのかジェイには判らない。
「とても小さい犬で、私はその犬が苦手だった」
「なんで? お前犬なんか平気だろ、確か」
「大きい分には構わないが小さいのは困る。足元に居られてうっかり踏んだりぶつかったりしたらすぐに死にそうだろう」
「ああ、まぁそれはわかる気がするけど……で?」
「小さいから、不安になる」
 なるほど。
 どうやら彼にとって、痩せっぽちの少女が気になる存在であるのは間違いないらしい。
 その気になり方と返された答えはジェイの投げた質問とかなりずれている気もしたが。
(……仲間として上手くいってるなら、まぁいいよな)
友人と違って同年代との人付き合いの上手いジェイは、心の中でそっと妥協した。

「そういえば私昨日計算してみた」
 不意にアーシャがシャルに話しかけた。
「あら、何を?」
「昨日のあの派手な頭の人の髪の毛の長さ」
 ぶはっ、とシャルとジェイは思わず噴出す。
 ジェイが隣を見るとなんとディーンまでも口元をそっと覆って笑いを堪えている。
「……ど、どのくらいだったの?」
 もう既に半分笑いながらシャルが聞くとアーシャは至極まじめな顔でその問いに答えた。
「目測で巻きの直径を予想したから正確とは言いがたいけど、約一メートルと十三センチってとこかな。毛の生える位置によって更に多少の誤差ありと推測。
 ただ、どうやってあの巻きを作ってるのか全然わかんないんだけど、シャル知ってる?」
 けらけらと笑いながらシャルは少女の疑問に答えてやる。
「あの変な頭、ホント謎よね。多分熱したコテで巻いてるんだと思うわよ。技巧学部にそういう髪の美容部門があって、そこでなら習えるはずよ」
 へぇ、とアーシャは感嘆の声を上げた。
 コテならアーシャも知っている。
 魔技科でも木の細工などで、素材を柔らかくカーブさせる時にそういう道具を使うことがある。
 そんな手間をかけてあの頭にしているのか、とアーシャは感心した。
 でも邪魔じゃないのだろうか、それともそれを補って余りある利点があの髪型にあるのだろうか?
(美しいとかお洒落だとかは端から除外されているらしい)
 そういえば前に読んだ本に結った髪の毛に細い針金を隠す別の大陸の技術が紹介されていた。
 アレはかなり彼女の頭に合っていると思えた。
 彼女なら針金どころかワイヤーやロープだって隠せそうだ。
 うん、それだ。間違いない。
「ねぇ、あの人って諜報技術科?」
「……昨日の話しと今の話のどこからそういう結論になったのか聞いてもいいかしら?」

 一分後、ジェイの小脇に抱えられ引きずられているシャルはもはや笑い死にしそうになっていた。



 それから十分ほど後、四人はようやく様々な店が立ち並ぶ一番街の入り口に辿り着いた。
 シャルの笑いの発作もようやく治まり普通に歩いているが、時々思い出しては笑い出しそうになっているのが少し不気味だ。
「で、どこの道具屋にする? どこでもいいのか?」 
 ジェイが三人に聞くと、口を開いたのはディーンだった。
「ここの裏通りに良い店があるという情報を得ている。そこへ行こう」
「裏通りって危険じゃないの?」
 アーシャの問いにディーンは首を横に振って答えた。
「アウレスーラに本当に危険な店は存在しない。大丈夫だ」
 ディーンはそう言うとスタスタと通りの脇に伸びる細い路地へと入っていった。
 三人もその後に並んで続く。
 建物二棟分の長さの短い路地を抜ければそこはすぐ裏通りだ。
 とはいっても表通りにごく近い裏通りだから雰囲気も特に悪いと言う事はない。

 そもそもこの学園にはあちこちの校舎に生徒が通う都合上、いかがわしい繁華街や胡散臭い路地などは存在しないのだ。
 大人向けの繁華街はないことはないが、全て都市を囲む外壁の外に作られて子供達の目に止まる事はなく、その存在も一定の年齢を越えた生徒達以外には知らされることはない。
 そういった治安維持には極めて厳しく、都市を囲む門の内には身元確認及び取引許可のない業者も、紹介や事前申請で貰える許可証のない一般人すらも一切入場できない事になっている。
 広く受け入れてもらえるのはあくまで学ぶべき子供達だけだ。
 街の人が多数参加する自警団は毎日街や各店を回って治安維持を図っている。裏通りを夜子供が歩いても安全、というのが学園都市の掲げる治安目標だった。
 実際には夜子供が出歩くと怒られるのは間違いないが。

「ここだ」
 ディーンは手元のメモを見ながら一軒の店の前で立ち止まった。
 見かけはどこにでもありそうな雰囲気の店だ。薄汚れた窓ガラスの向こうには雑多な道具が飾ってあるのが見える。
「ほんとにここ……?」
 表通りにはもっと綺麗な店が沢山あるのに、とシャルはぶつぶつ言いながらドアを開けるディーンに続いた。
 カラン、とドアベルが軽い音を立てる。中に入ると意外と店は広い。
 店内は確かに道具屋だった。壁や床にはびっしりと様々な道具が並べられている。
 良く知った物も見たことのない物も沢山ある。
「おう、らっしゃい」
 四人が店内を見回していると、奥から太い声がかかった。
 店の奥への入り口から顔を出したのはヒゲ面の厳つい中年男だった。どうやら彼がこの店の店主らしい。
 ヒゲ、とアーシャが小さく呟くのが隣に居たジェイの耳に届く。
「んん? 見ない顔だな。随分小さいのも居るし……お前ら何年だ?」
「三年よ」
 シャルがそう答えると、店主は面白そうに四人を眺めた。
「へぇ、三年でこの店を知ってるとは珍しい。野外実習の買い物か?」
「ああ、店の事を聞いてきた。ここなら品物もしっかりしていて、面倒なく一式揃えられて助言も貰えるとな」
「ははぁ、そりゃなかなかの情報通だな。三年で俺の店に来る奴は滅多にいないぞ。
 で、お前らどこへ行くんだ?」
「風の森に行くのよ」
 ぶふっ!
 シャルの答えを聞いた途端店主は派手に噴出した。キャッとシャルが小さな声を上げて飛びのく。
「ぶははは!お前らか! 今年のチーム・無謀は!!」
「失礼ね! チーム・有望の間違いよ!」
 店主はシャルが張上げた声にも面白そうに笑うと判った判ったと言いながら奥へと歩いていった。
 奥はどうやら棚が並んでいるらしい。ごそごそと何かを漁る音がする。

「風の森なら日程的にはこの辺だろ、ほら」
 そう言って店主が出してきたのはかなり大きなものとそれの三分の二ほどの大きさのバックパックだった。
 もう既にワンセットになっているらしいバックパックを四人が囲んで珍しそうに眺める。
「でかい方が≪野外実習基本セット中〜長距離、男子用≫、小さい方が同じく女子用だ」
 そのまんますぎる。
 全くひねりがないネーミングだ。
「中身は?」
「まぁ、一般的な旅と野宿用品だな。
 寝袋に薄い毛布、防水布、雨避けのマント…これはセットに入ってるがサイズ合わせしていけよ。
 それから携帯保存食、簡易調理器具、後は、救急道具とか、ロープとかのあると便利な道具色々ってとこだ。中身はまだ少しあいてるから、ここに着替えとかを追加できる」

 テントはこっちだ、と言うと店主は丸められたテントを幾つか出して見せた。
「四人パーティならまぁ四人用でもいいんだが、女の子がいるしなぁ。二人用を男共が分担して持つのが紳士ってもんだろ」
「うーん、まぁそりゃしょうがねぇよな、ディーン?」
「ああ、それが妥当だろう」
 シャルは試しに手を伸ばして小さい方のザックを持ってみた。
「う!」
 しかし持ち上げたもののその重さに思わず硬直する。
「ちょ、ちょっと! 重いわよこれ!?」
「ははは、そりゃ嬢ちゃんが魔法学部だからだろ。魔法学部の生徒は大体そう言うんだ。魔術書より重いもんなんか持ったことねぇってな!」
 どれ、とジェイが大きい方のザックに手を伸ばし、それをヒョイと持ち上げた。
「二……三十はないか。まぁ服とか追加するとそんなもんかな。軽い方だな」
「おう、小さい方はいっぱいにして二十キロくらいだろうな」
 二十……とシャルが絶望的に呟く。
 ディーンは振り向いて壁に並んだザックを見ているアーシャを呼んだ。
「嬢ちゃんは……また随分小せぇなぁ。嬢ちゃんに合いそうなのはどう見ても近距離用なんだが……」
 アーシャはシャルが床に放り出したザックに歩み寄ると軽く持ち上げてみる。
 重いが持てないほどではない。
 けれどこの重さを背中に背負ってずっと歩くのは不快だと感じられてアーシャは軽く眉を寄せた。
「持てねぇほどじゃないみたいだが……これもって一日歩けるか?」
 店主の言葉にアーシャはうーん、と首をひねる。
「私、自分の道具があるからいらない。食料もこんなになくていい」
「自分の道具があるならそりゃあ無理して買うこたねぇが、食料はこれでも最低限だぞ?
 これで約十日日分てとこだから、途中の行程が徒歩なら森の近くの村で補給していかなきゃなんねぇしな」
「でも六月の森だよ。食べる物には困らない。私はナイフだけあれば大丈夫」
 いやいやいやいや、と他の三人は胸の内で突っ込んだ。
 アーシャのサバイバル精神を垣間見てまた一つ認識を改める。どうやら野宿は慣れてると言っていたのは本当らしい。
 だが行った事のない場所には違いないのだ。慎重になって悪いことはない。
「アルシェレイア、未知の場所には十分な備えをしていくべきだ。重いなら後で私とジェイで分担するから用意はしておけ」
 ディーンが真剣な声音でそう告げると、アーシャは少し考えた後、うん、と頷いた。
 しばらくの相談の末、結局四人は男子用セット二つと女子用セット一つ、二人用テント二つなどとそれぞれの雨避けのマントをサイズを合わせて買い込んだ。
 アーシャだけは自分の分の保存食のセットと、それとは別にアーシャの背にぴったり納まる小さなオレンジ色のディパックを買った。
 そんな小さいのじゃ何も入らねぇだろ、という店主の声にはこれは可愛いから自分用、と答えていた。
 その後ディーンはセット割引とまとめ買い割引を静かに、しかし強硬に主張し、とうとう三割負けさせた事を追記しておく。

 荷物を各自の部屋に配達してもらう手配を済ませて、四人は店を出た。
 アーシャだけは買い立ての小ぶりのバッグに保存食料をぎゅうぎゅうに詰めて背中に背負っている。
 魔法薬なんかは入ってねぇから用意しとけよ、という店主の助言を受けて同じ並びにある魔法薬屋を覗く。
 店主の老婆と相談して、「これさえあれば安心セットA」とやらを二セット買い込んだ。
 この裏通りの店のネーミングセンスに四人は少し危機感を覚えたが、負けてくれた老婆の手前皆礼儀正しく突っ込みは我慢した。
「後は……個人の荷物の範囲になるか? 何か必要な物は?」
「そーだなぁ……俺は念の為教会寄って帰るよ。離れてるからここで解散でいいか?」
「あ、ジェイ、私魔法衣店とかによって帰るから、付き合ってよ」
 そういうとシャルはジェイの返事を聞かずにさっさと行きたい方向に歩き出す。
「あっ、おい待てよ! ……ったく、じゃあ後でな!」
 いつものことらしく、ジェイはため息を着くと前を歩く少女の背中を追いかけていった。
 それをじっと見送ったアーシャは疑問に感じた事を隣の少年にぶつける。
「……教会って?」
「ん? ああ、ジェイは光魔法が使えるからな。この大陸出身だし家系的にも光が強い」
 へぇ、とアーシェは感心するような声を上げた。
「だが、ジェイ自身は拳闘科だし、あまり熱心な教徒じゃない。術の行使には符や聖水の補助が要るレベルだ。それを貰いに行ったのだろう」
 なるほど、とアーシャは頷く。

 この世界には六柱の神が存在するといわれている。
 創世神話に基づく伝承だが、六柱の神とそれに属する六種の精霊は現代でも人々の信仰の対象だ。
 六柱の神は皆人々に愛されているが、大陸によって主となる信仰の対象は異なっている。
 この世界に神の数だけ存在する各大陸では、気候風土や多い精霊の違いなどからそれぞれ異なった神を愛しているのだ。
 勿論、大陸間の交流はあるので現在では激しい対立があったりする訳ではなく、どの大陸でも大きな都市となれば必ず全ての神の神殿が建てられている。
 しかし一つの大陸で主流の信仰が決まっているのは事実で、そしてその主流の信仰はそれぞれの大陸では聖教とされているのだ。
 学園があるこのレアラード大陸での信仰の対象は光の神だ。
 だからこの大陸では教会といえば光の教会を示す。

「そっか、確かにジェイは綺麗な金髪だもんね」
「ああ」
 神や精霊の加護はその髪や目に出る事がある。
 このレアラード大陸では金色がかかった髪の色は多い。
 その中でも特に、輝くような金の髪は光の加護を受けている証として尊ばれていた。
「教会はここに来てから行った事ないな」
「……行ってみるか?」
 ディーンの提案にアーシャは首を振って答えた。
「ううん、興味ないからいい」
 簡潔に断るとアーシャは周りを見回した。
「幾つか魔具を作りたいから材料見て帰るよ」
「判った。ではまた後で……今日は寮に来るのか?」
 アーシャはちょっと考えてからまた首を振った。
「……あの人に会ったら怖いからやめておく」
「……懸命だな。彼女達の班は明日出発だと聞いた。気が向いたら明日来るといい」
「うん、またね」
 そう言ってアーシャは軽く手を振ると裏通りの奥の方へと歩いていった。
 ディーンはその後姿をなんとなく眼で追う。
 光教会に行くか、という質問に対する彼女の答えに安堵している自分が居る。
(何故あんな質問をしたのか……)
 ディーンは来た道を引き返しながらぼんやりとその訳を考えていた。
←戻  novel  次→